本日の整備車両は三菱ミニキャブです。
新規のお客様でブレーキに違和感があるということでご入庫しました。
早速点検整備をしていきます。
ブレーキをすると前方左からキーキー音が鳴っていました。
タイヤを外してブレーキパッド残量を確認するとパッド(ライニング)残量が無く
パッドが取り付けられている金属のバックプレートのみと
非常に危険な状態でした。
またディスクローターも削れています。
ブレーキは金属のディスクローターを摩擦材のパッドで挟み込み
運動エネルギーを熱エネルギーに変換して車を止めています。
1トン以上ある車を停止させるためにはものすごい摩擦があり熱がでます。
ディスクローターの鉄とバックプレートの鉄では摩擦係数が高すぎて
ローターが削れてしまい最悪ローターが割れてしまいます。
割れてしまうとブレーキが効かなくなり大変危険です。
今回はお客様がお気づきになられたので大事にいたりませんでした。
早速整備に取り掛かります。
ブレーキパッド
左ブレーキディスクローターを交換していきます。
本来ブレーキローターは左右同時交換が望ましいですが、右はパッド残量があり
ローターが削れていなかったため
お客様と相談したうえで左のみ交換をして予算を抑えることになりました。
こちらの車両は27万キロ走行しておりディスクローターの交換した形跡がありませんでしたので
かなり固着していました。
ローターを外すためのサービスホールがありますが強度が低く
固着しているとあまり使えません。
ノウハウを駆使して取り外していきます。
無事取り外せました。
かなり削れています。
熱による影響でブレーキピストンシールなどのゴム類に異常がないか確認して
スライドピンの固着が見受けられました。
スムーズにブレーキキャリパーが動くように研磨、グリスアップを施しました。
スライドピンが固着しているとパッドの減りが早くなり
こちらの車両のように左右でパッドの減りが変わってしまいます。
交換完了後試運転をするとペダルを踏むとスカスカと
ブレーキに違和感がありました。
べーパーロック現象が考えられます。
べーパーロック現象とは
前述したようにブレーキパッドがないと摩擦熱が高すぎるためブレーキフルードが沸騰してしまい
気泡ができてブレーキを踏んでも圧力がブレーキに伝わらずブレーキが効かなくなる現象です。
摩擦熱は正常のブレーキでも2ℓの水が時速100キロで急ブレーキをすると3秒で沸騰してしまうほどの熱です。
ブレーキフルードは水よりも沸点は高く新品では200度以上です。
しかしフルードを交換してから年数が経ち空気中の水分を含むと150度ほどと沸点が下がってしまいます。
フルード交換の目安は車検ごとに交換が望ましいです。
上記の条件が重なりべーパーロック現象が起こったと考えられましたので
ブレーキフルード交換のエア抜き作業も追加しました。
試運転後問題のないことを確認して作業完了です。
ブレーキパッド
左ブレーキローター
ブレーキフルード
上記の整備内容で整備代金は28,590円です。
一年ごとの定期点検ではブレーキパッド残量、ブレーキフルードの量をチェックしますので
今回のような事例を未然に防ぐことができます。
パッドの残量が減ってくるとパッドのバックプレートに接触する前に
キーキー音がなるようにインジケーターがついていますので
ブレーキをするたびに音が鳴りましたらリペヤまでお問い合わせください。
軽バン専門店ならではのノウハウを活かして
省ける整備は省き、走るために重要な整備は実施。
走って稼ぐ軽バン整備をしています。
お客様の整備ご予算の提案も大歓迎です。
お車の状態、予算内で走って稼ぐ車に仕上げていきます。